無能魔女の甘すぎる誤算 ~成り行きで助けた最強魔術師様が熱烈に求愛してくるのですが~
「しかし、国王陛下がそのようなことに応じてくださるでしょうか?」
「国王陛下以外にもいるだろ」
そう言われ、カーティスはハッとする。
レイを産んだ側妃は既に亡くなっているが、彼女は生涯でもうひとり子供を産んだ。第三王子のサファエル・ルクレインだ。
シリルはカーティスを見つめたまま頷く。
向かう先は王宮の外れにある離宮。皆に忘れられた存在である、第三王子の居室だった。
◇ ◇ ◇
艶やかな黒髪に年齢を感じさせない美しい肌。子供を三人産んだとは思えないひっそりとした腰。
アルファールの王妃であるルミナスは、幼い頃から評判の美女だった。そして、既に四十代も半ばに差し掛かっているにもかかわらず、その美しさは衰えることを知らない。
多くの男たちが彼女に心酔し、愛を乞い、そして叶わぬ思いに胸を焦がした。
魔法庁長官のダリウスもそのひとりだ。
「ダリウス。王族を騙る反逆者が現れたと聞いたわ。本当なの?」
王妃は形の良い眉を寄せて、ダリウスに問いかける。
「はい。しかし、心配はいりません。ただいま追っ手を放っておりますので、すぐに捕らえられるでしょう」