無能魔女の甘すぎる誤算 ~成り行きで助けた最強魔術師様が熱烈に求愛してくるのですが~
「そう……。ところでその若者は、本当に王族ではないのね? ほら、実は陛下が市中で──」

 王妃はそこまで言うと、口ごもる。
 ダリウスはその様子を見て、彼女が言わんとしていることすぐに悟った。国王が市中の女を気まぐれに抱き、婚外子がいるのではないかと心配しているのだ。
 万が一国王の血を引いているなら、その者には王位継承権が自動的に発生する。第一王子である長男を溺愛し、我が子を王太子にすることに全身全霊を注いできた王妃にとって、それは看過できないだろう。

「それはないかと。とるに足らない小者です。ただ、ご心配なら捕らえずにそのまま始末してきましょう」
「ええ、それがいいわ。さすがダリウスね。わたくしの気持ちを、よくわかっているわ」

 王妃は満足げに微笑む。

「おほめ頂き光栄に思います」

 ダリウスは彼女の手をそっと取ると、キスをした。



 ──始まりはまだダリウスが二十代の頃だった。王宮魔術師としてキャリアを積んでいたダリウスは、その才能により若くして周囲から注目を集める存在だった。
 そんなある日、ルミナスがふらりと魔法庁にやって来たのだ。

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