無能魔女の甘すぎる誤算 ~成り行きで助けた最強魔術師様が熱烈に求愛してくるのですが~
 すでにそのときには魔法庁で確固たる地位を築いていたダリウスは、魔法でルミナスの体調管理をする役目を担っていた。いつものように彼女の私室に行くと、表情が暗い。

「妃殿下。どうかされましたか?」
「……側妃が妊娠しているそうなの」

 ルミナスはぽつりと呟く。

『どうしましょう! ああ、もしあの女の子が先に生まれてしまったら……この子は第二王子になってしまうわ』
『落ち着いてください、妃殿下。その件は私も存じておりますが、側妃様の妊娠は妃殿下よりもあとです。二カ月程度、妃殿下のお子様が先に生まれます』
『でも、たった二カ月よ? もしその子がわたくしの子より優秀だったらどうすればいいの? 陛下はその子を王太子にすると言うかもしれないわ。それに、この子が女の子である可能性もあるわ』

 興奮気味に捲し立てるルミナスに、ダリウスはすぐに言葉を返すことができなかった。

 ルミナスが心配している通り、アルファールの王位継承順位は単純な出生順ではない。最も優秀な王子を国王が指名し、王太子となるのだ。
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