無能魔女の甘すぎる誤算 ~成り行きで助けた最強魔術師様が熱烈に求愛してくるのですが~
「あなたがイマンさんを誘拐した犯人ね! イマンさんを返して!」
「誘拐とは人聞きの悪い。正当な手続きを踏んで拘束したのです」
「何が正当な手続きよ! レイは反逆罪なんて犯してないし、イマンさんも何も関係ないじゃない!」

 リディアは男を睨みつける。
 王宮魔術師の衣装を着ているのだから、王宮魔術師なのだろう。どこかで見たことがあるような印象を受けたが、どこで見たのかは思い出せない。

「ふむ。随分と騒がしい女性ですね。少し黙っていてもらいましょうか」

 男が一歩近づいて、リディアは後ずさる。

「私をどうする気⁉」
「あのフォシニはあなたに懐いているようですので、利用させていただきます。なに、殺しはしませんよ」

 今はね、と最後に付け加える声が聞こえた。『あのフォシニ』とは間違いなくレイのことだろう。

(聞いていた通りのクズ野郎だわ!)

 こんな奴に利用されるなんて、絶対に許せない。
 
(なんとかして逃げないと)

 ざっと部屋の中を見回すが、武器になりそうなものは椅子ぐらいしかない。
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