無能魔女の甘すぎる誤算 ~成り行きで助けた最強魔術師様が熱烈に求愛してくるのですが~
「一回見れば覚えるって言っただろ」
レイはあれほどの光弾を不意打ちで食らったにもかかわらず、衣類の乱れがほとんどなかった。
表情にも余裕がある。
「レイさんの勝ちですね。明らかにダリウス長官が押されています」
「ああ。レイの奴、天才だとは思っていたが、ここまでとはな」
カーティスとシリルは二人の攻防を見つつ、感嘆する。
ダリウスはこれまで〝稀代の大魔法使い〟とされていた。そのダリウスを圧倒的に凌ぐ存在が現れるなんて、誰が想像しただろうか。
レイはゆっくりとした足取りで、ダリウスに近づく。
「最後に言い残すことは?」
レイに冷ややかな眼差しを向けられたダリウスは、くくっと笑い始めた。
「お前が私に勝てるとでも思っているのか?」
「……頭がイカれたか?」
「下がれ! 一歩でも動けば、あの女の命はない!」
ダリウスがそう叫んだ瞬間、リディアの首に巻き付いていた紐がシュルシュルと締まる。
「うっ……くっ」
リディアは苦しさから、声にならない声を漏らした。
「ダリウス長官! 一体何を! おやめください! 彼女は無関係な市民です!」