無能魔女の甘すぎる誤算 ~成り行きで助けた最強魔術師様が熱烈に求愛してくるのですが~
「俺が死ねば、リディアを解放するのか?」
「ええ、約束しましょう」

 ダリウスは頷く。


「レイ、ダメよ!」

 リディアは叫ぶ。
 この男がそんな約束、守るわけがない。ダリウスとほんのわずかしか接点のないリディアですら、それはわかった。
 この男はきっと、レイが死んだあとにリディアのことも殺し、余計なことを言う不穏因子を撲滅しようとするはずだ。

「騒がしいですよ。今は私とこのフォシニが会話中なのです。静かにしてください」

 ダリウスが片手を振る。
 リディアの首に巻かれた魔法の紐がさらに締まった。

「う……」

 リディアは息苦しさから、首に締った紐を振りほどこうともがく。しかし、まったく緩む気配がない。

「やめろ! お前の言うとおりにする」

 レイは叫ぶ。

「よろしい。最初からそうすればよかったのですよ。……そうだ、お前が死ぬ前に最後の魔力供給をしておきましょう。余計なことをさせられたせいで、魔力がだいぶ減ってしまいました」

 ダリウスはレイの破れた上着の合間から見えるフォシニの刻印を見て、目を細める。
 おもむろに彼の体に手を置いた。

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