無能魔女の甘すぎる誤算 ~成り行きで助けた最強魔術師様が熱烈に求愛してくるのですが~
黒髪の少年の姿が見えて、リディアは小さな声を上げる。
その後ろ姿が、リディアの大切な友人──ジェイのものとよく似ていたから。
「……ねえ、お父さま。ジェイは──」
「リディア。あの子のことはもう忘れなさい。あれは使い物にならなくなったからいなくなったんだ」
心底うんざりしたように答える父の態度に、リディアはショックを受けた。ジェイが死んだことなど、どうでも良さそうな言い方だ。
いや、事実として父にとってはどうでもいいことだったのだろう。魔力供給用の奴隷など、いくらでも代わりが効くのだから。
「……お父様。私やっぱり行きたくない」
「そんなことを言うな。きっとリディアが気に入るフォシニがいる」
「そうじゃなくって、私はフォシニなんていらな──」
言いかけた台詞を最後まで言うことは叶わなかった。父に思いっきり頬を引っぱたかれ、頬に鋭い痛みを感じる。
ジンジンと痛む頬に手を添え、リディアは呆然と父を見た。
「お父様……」
「いい加減にしなさい。お前が落ち込んでいたからこれまで黙っていたが、たかがフォシニがひとり死んだぐらいでいつまでもぐずぐずと情けない」
その後ろ姿が、リディアの大切な友人──ジェイのものとよく似ていたから。
「……ねえ、お父さま。ジェイは──」
「リディア。あの子のことはもう忘れなさい。あれは使い物にならなくなったからいなくなったんだ」
心底うんざりしたように答える父の態度に、リディアはショックを受けた。ジェイが死んだことなど、どうでも良さそうな言い方だ。
いや、事実として父にとってはどうでもいいことだったのだろう。魔力供給用の奴隷など、いくらでも代わりが効くのだから。
「……お父様。私やっぱり行きたくない」
「そんなことを言うな。きっとリディアが気に入るフォシニがいる」
「そうじゃなくって、私はフォシニなんていらな──」
言いかけた台詞を最後まで言うことは叶わなかった。父に思いっきり頬を引っぱたかれ、頬に鋭い痛みを感じる。
ジンジンと痛む頬に手を添え、リディアは呆然と父を見た。
「お父様……」
「いい加減にしなさい。お前が落ち込んでいたからこれまで黙っていたが、たかがフォシニがひとり死んだぐらいでいつまでもぐずぐずと情けない」