無能魔女の甘すぎる誤算 ~成り行きで助けた最強魔術師様が熱烈に求愛してくるのですが~
「やめろ……」
「ははっ、おかしいね。あんた、やめてくれって懇願するフォシニの言うことを聞いたことなんて一度もないよね」

 レイはけらけらと笑うと、指さきを軽く振る。カーティスの首に、先ほどリディアの首に巻き付いていたのと同じ魔法の紐が現れた。

 そのとき、廊下の向こうから複数の足音が近づいてきた。

「ダリウス長官! ダリウス長官! いらっしゃいませんか!」

 どんどんとドアを激しくたたく音。

「一体どうしました?」

 対応に出たのはカーティスだ。息を切らせているのは、魔法庁に所属する中堅の王宮魔術師だった。

「え? カーティスさん? 長官は……」
「長官は今、取り込み中です。それよりなんの用ですか?」
「それが……都市を守っている結界が消えてしまいました! 今いるもので修復を試みているのですが、力不足で──」

 切羽詰まった様子の王宮魔術師は現在の状況を早口で伝える。
 それを聞いたカーティスはハッとする。

「そうか! ダリウス長官が魔法が維持できなくなったということは、結界も──」

 それを聞いたダリウスは血を吐きながらもにたりと笑う。

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