無能魔女の甘すぎる誤算 ~成り行きで助けた最強魔術師様が熱烈に求愛してくるのですが~
 その場にいた、誰もが息を呑んだ。

「……生きて、いたのか」

 重臣たちのざわめきが大きくなる。
 リディアは声を張り上げる。

「陛下。ダリウス・クロウウェルは、第二王子殿下をすり替え、死を偽装し、長年フォシニとして利用続けていました。証人は、ここにいる者たち全員です!」

 国王の顔が、怒りに歪む。

「ダリウス・クロウウェル」

 重い声が響く。

「王族誘拐、殺人、死の偽装、王族へのフォシニ契約……いずれも重罪である」

 ダリウスは床に這いつくばったまま、苦しげに顔を歪める。

「この者を、拘束しろ。連れて行け」

 あっと言う間に衛兵が現れ、ダリウスを引きずっていく。
 その背中を、レイは黙って見ていた。リディアはそっと彼の手を握る。

「……終わったね。もう逃げなくて大丈夫だよ」
「うん。ありがとう、リディア」

 レイは微笑む。その表情は、見ているリディアが清々しく感じるほど、すっきりしていた。
 本当の意味で、レイが過去から解放された日だった。



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