無能魔女の甘すぎる誤算 ~成り行きで助けた最強魔術師様が熱烈に求愛してくるのですが~
9.レイの選択
9.レイの選択


 魔法庁での一連の出来事から一カ月が経った。
 リディアは、最近定期購読を始めた新聞を眺める。そのとき、ちりんとベルが鳴り、玄関のドアが開いた。

「あ、レイ! お疲れ様」
「うん、ただいま」

 レイはまっすぐにリディアのほうに歩み寄ると、彼女をぎゅっと抱きしめる。

「話し合いは終わったの?」
「話し合うことなんてないから」

 レイは肩を竦める。そして、リディアの手元にある新聞に視線を落とした。

「リディア。何見ているの?」
「今日もレイの記事が出てたから読んでたの。『王室の勢力図が塗り替わるか⁉』って書かれているわよ。家系図と勢力図まで入ってるの」
「ふーん」

 渦中の人であるレイは、全く興味がなさそうだ。
 上着を脱ぎ棄てると、リディアの隣に座った。

 あの日、レイの存在を知った国王はレイが王子であることに間違いがないか、再度調査を行った。そしてつい先日、レイは正式に第二王子のアシュレイ・ルクレイン本人であると認められた。
 
 当然、王宮内はもちろんのこと、国内は大騒ぎになった。

 死んだはずの王子がフォシニとして生きていた。
 首謀者は聖人君子として名高かった魔法庁長官のダリウス・クロウウェル。
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