無能魔女の甘すぎる誤算 ~成り行きで助けた最強魔術師様が熱烈に求愛してくるのですが~
「……今は、でしょ?」
「今も、これからもよ」
「来月は?」
「来月も」
「来年は?」
「来年も!」

 リディアは真剣な表情で、言い聞かせる。
 彼を追い出したりしない。だって、責任をもって独り立ちさせるための術を覚えさせると誓ったのだ。

 レイは少し驚いたように目を瞬くと、嬉しそうに笑う。

「じゃあ、信じる」
「ええ、信じて」
「リディア、ずっと一緒だよ」

 レイは体をかがめると、リディアにぎゅっと抱きつく。

(きっと、不安なのね)

 リディアは胸に痛みを感じ、彼の背中に手を回すと優しくなでる。
 レイがフォシニでない生き方をするためには、まだ時間が必要だと思った。


 ・・・

 
 レイが家に来てから、十日が過ぎた。
 リディアは今日も、日課である薬の調合を行っていた。
 五年間、ほぼ毎日休むことなくやっている調薬。けれど、こんなにもじっと見られるとどうも落ち着かない。

「レイ。気配を消して立たないでちょうだい」
「消してないよ」
「私には消えてたの!」
「リディアが鈍いだけじゃない?」
「なかなか言うわね」

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