無能魔女の甘すぎる誤算 ~成り行きで助けた最強魔術師様が熱烈に求愛してくるのですが~
「リディア。今日、一緒に出掛けたい場所があるんだけどいいかな?」
「もちろん。どこ?」
「行ってからのお楽しみ」

 レイは思わせぶりに笑った。

 朝食のあとレイに連れてこられたのは、王都の一番の繁華街である中央通りに面した小さな店舗だった。

「ここは?」
「薬屋だったみたいなんだけど、店主が高齢で最近閉めたらしいんだ」
「へえ」

 リディアはがらんどうになった店内を見回す。
 広い窓からは明るい日差しが差し込み、奥には調合室に使えそうな部屋もある。大通りに面していて、立地もいい。

(わあ。こんな店、いつか持ってみたいな)

 リディアは感嘆の息を漏らす。

「素敵なお店ね」
「うん。リディアの薬屋だよ」
「え?」
「買った」

 思いがけない告白に、リディアは固まった。

「買ったって……」

 まるで芋を買ったかのように簡単に言うが、立地的にかなりの高額だったはずだ。

「そんな、簡単に……!」
「簡単じゃないよ。ちゃんと仲介業者に行って、契約した」
「そういう意味じゃなくて!」

 レイはリディアを見つめ、不安そうな顔をする。

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