無能魔女の甘すぎる誤算 ~成り行きで助けた最強魔術師様が熱烈に求愛してくるのですが~
「今仕事中なの。わかるでしょ?」
「わかんない」
「レ・イ!」
少し語気を強めると、レイは「ちぇっ、わかったよ……」と言ってしずしずと離れる。そして、不満そうに口を尖らせながらも、汚れた器を洗い始めた。
リディアは彼の姿をそっと窺う。
ぼさぼさだった黒髪はすっかりと艶を取り戻し、今はグレーがかった黒に見える。ずっと地下室にいたと言っていたが、確かに肌は白くしみひとつない。
やせ細った体は少し肉が付き、初めて会った日より一回り大きく見えた。
涼し気な目元に高い鼻梁の整った顔。遠目にも目を引く、しなやかな立ち姿。
(うーん。綺麗な顔)
頬に少し血色が戻ってからというもの、レイは急に「絵になる男」になってしまった。
かと言って、リディアは居候させている年下の男に恋情を抱くほど、若くはない。
リディアはもう、27歳。この国では既に行き遅れとされる歳だ。22歳で親から勘当されひとりで生きていくために必死に過ごしているうちに、気づけばこんな歳になっていた。特定の恋人もいないので、もしかしたらこのまま一生おひとり様コースかもしれないと覚悟している。
「わかんない」
「レ・イ!」
少し語気を強めると、レイは「ちぇっ、わかったよ……」と言ってしずしずと離れる。そして、不満そうに口を尖らせながらも、汚れた器を洗い始めた。
リディアは彼の姿をそっと窺う。
ぼさぼさだった黒髪はすっかりと艶を取り戻し、今はグレーがかった黒に見える。ずっと地下室にいたと言っていたが、確かに肌は白くしみひとつない。
やせ細った体は少し肉が付き、初めて会った日より一回り大きく見えた。
涼し気な目元に高い鼻梁の整った顔。遠目にも目を引く、しなやかな立ち姿。
(うーん。綺麗な顔)
頬に少し血色が戻ってからというもの、レイは急に「絵になる男」になってしまった。
かと言って、リディアは居候させている年下の男に恋情を抱くほど、若くはない。
リディアはもう、27歳。この国では既に行き遅れとされる歳だ。22歳で親から勘当されひとりで生きていくために必死に過ごしているうちに、気づけばこんな歳になっていた。特定の恋人もいないので、もしかしたらこのまま一生おひとり様コースかもしれないと覚悟している。