無能魔女の甘すぎる誤算 ~成り行きで助けた最強魔術師様が熱烈に求愛してくるのですが~
 イマンが薬を計量して買い取り額を算定している間、リディアはその記事を眺める。なんでも、この国──アルファールで一番の天才魔術師と名高いダリウス・クロウウェルのフォシニが姿を消し、彼は大層心を痛めているという内容だった。

「その記事の件で、最近この辺にも聞き込みがあったよ。黒髪の青年のフォシニを見かけなかったかって」
「黒髪の青年?」

 脳裏に過ったのは、もちろんレイのことだ。

(でも、そんなわけないか)

 黒髪の青年など、ごまんといる。
 それに、大魔術師ダリウスは慈悲深いと有名で、フォシニのことも家族のように思っていると聞いたことがある。レイが置かれていた環境とは違いすぎる。

 だれもがダリウスのようにフォシニを家族のように思ってくれる人格者だったら、どんなに幸せな世界になるだろうと思わずにはいられない。


「黒髪の青年と言えば、リディアは最近噂になっているイケメン君のことはもう見た?」
「最近噂になっているイケメン君?」

 リディアは首を傾げる。
 
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