無能魔女の甘すぎる誤算 ~成り行きで助けた最強魔術師様が熱烈に求愛してくるのですが~
 ある日慈悲深い行動を取ったかと思えば、別の日には物乞い子供がいようが見向きもしないので、ずっと彼の行動のちぐはぐさを不思議に思っていた。きっと、セドリックが施しを与えるのはすべて彼が仕込んだ者たちなのだろう。


(でも、レイはなんでそんなことが分かるの?)

 セドリックからあの男の魔力が漂っていると言っていたが、そんなものを感じるものなのだろうか?
 正直、リディアは聞いたことがない。

 一方のセドリックは鬼のような形相でレイを睨むと、大きく片手を振る。すると、突然突風が吹いてレイの体が吹き飛ばされた。

「発言には気を付けろと言ったはずだ」
「レイ!」

 リディアは地面に倒れたレイに駆け寄る。

「セドリック様! 無抵抗な市民に魔法を使うなんて!」
「無抵抗? とんだ濡れ衣をかけて散々私をこけにしたのに、無抵抗だと?」

 セドリックは憎々しげにレイを見やる。そのとき、何かに気付いたように一点を凝視した。 

「ああ、なるほど……」

 彼はゆっくりと口角を上げ、にんまりと笑う。

「この男はフォシニか」

 リディアはハッとする。
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