無能魔女の甘すぎる誤算 ~成り行きで助けた最強魔術師様が熱烈に求愛してくるのですが~
 吹き飛ばされた拍子にレイの上着が捲れ上り、レイの脇腹が見える状態になっていた。

「フォシニの制度に反対しながら、きみも結局はフォシニを持っている。しかも、若い男に慰めを求めるとは落ちぶれたものだな」
「……若い男に慰め?」

 スーッと顔から血の気が引くのを感じた。
 レイを買ったときに、奴隷商に夜の相手もさせるんだろ? と言われたことを思い出す。

(どいつもこいつも……)

「よく知りもしないくせに、勝手なことを言わないで!」

 リディアは強く反発する。

「では、そのフォシニはなんだというんだ? 憐れだな。一時は私の婚約者だったきみがこんな落ちぶれた人間になってしまうとは、見ていられない」
「レイは──」

 反論しようとしたそのとき、「あーあ。汚れちゃった」と低い声がした。レイだ。
 レイは立ち上がると、服に付いた土埃を叩いて落とす。

「これ、リディアが俺に買ってくれた服なのにどうしてくれるんだよ? 俺の宝物なのにさぁ」

 レイはくいっと顎を上げ、見下ろすようにセドリックを見る。

「あんた、死にたいの?」

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