無能魔女の甘すぎる誤算 ~成り行きで助けた最強魔術師様が熱烈に求愛してくるのですが~
「それはそうだけど……消えてほしいなんて思っていないわ。社会的制裁を受けて痛い目を見ればいいとは思うけど」
「ふーん」

 何をするのか不安に思うリディアに気付いたのか、レイはにこっと微笑む。

「安心して。俺、リディアが嫌がることはしないよ」
「そうね……」

 その言葉に安心する一方で、また不安になる。

(嫌がらなければ、何かするつもりなの?)

 普段のレイは少年のようにあどけない。なのに、今はなんだか知らない人を見ているような気分だった。


 ◇ ◇ ◇


 ここはアルバーン侯爵家の一室。
 若き当主であるセドリック・アルバーンは怒りに震えていた。

(リディア!)

 苛立ちに身を任せて鞭を振るうと、足元に血が飛び散った。
 彼の前には瀕死のフォシニが転がっている。

「おまえがあの若造にフォシニだと見破られたせいで、とんだ大恥をかかされた。どうしてくれるんだ?」

 床に這いつくばり肩で息をするフォシニに、静かに問いかける。

「ご、ご主人様……どうか……お許しを……」
「それでは答えになっていない。どうしてくれるんだと聞いているんだよっ!」

< 41 / 126 >

この作品をシェア

pagetop