無能魔女の甘すぎる誤算 ~成り行きで助けた最強魔術師様が熱烈に求愛してくるのですが~
「あいつ、悪いことしててお咎めを受けるの?」
「ええ、そうみたいね」

 リディアは頷く。聖人君子の仮面がはがれるのはあっけなかった。
 そしてそのタイミングは──。

「レイ。昨日の夜、どこに行っていたの?」

 なんとなく気になって、リディアは尋ねる。

「家の周りをふらついてただけだよ」
「……そっか。そうだよね。ご飯食べよっか」

 一瞬、レイが何かやったのではという突拍子もない考えが浮かんだが、リディアは脳内でそれを否定する。考えすぎだ。

「リディア、よかったね」

 レイがリディアの顔を覗き込み、口元に笑みを浮かべる。

「よかったって?」
「あいつ、社会的制裁をうけたね。牢屋に入ってくれたら、もう二度とあいつと会わなくて済むよ」

 その声音は、妙に弾んでいた。

「……そ、そうね」
「嬉しい?」
「それは……」

 嬉しい、とは少し違う。
 なんと言えばいいか言葉に迷いながらも、リディアは口を開く。

「少なくとも、彼がこのまま聖人君子のふりをして人を騙し続けるよりはよかったわ」
「うん、そうだね」

 レイは満足そうに頷く。

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