無能魔女の甘すぎる誤算 ~成り行きで助けた最強魔術師様が熱烈に求愛してくるのですが~
「レイ。あなた、働きなさい!」

 リディアはビシッとレイの鼻先を指さす。

「働く?」

 レイはぱちくりと目を瞬かせた。

「そう! いつまでも居候じゃダメよ。お金を稼ぐの!」
「……俺がお金稼いだら、リディアは嬉しい?」
「もちろんよ!」
「ふーん。じゃあ、働こうかな」

 レイは拍子抜けするくらいすんなりと頷く。

「それがいいわ。そうと決まれば、早速町に求人票を見に行きましょう」
「うん」
「辻馬車の時間は──」

 リディアは立ち上がり、壁に貼ってある乗合馬車の出発時間表を確認する。ここから一番近い馬車乗り場をちょうど発車したばかりのようで、次は一時間後だ。

「タイミング悪いわね。まあ、歩いて行くには遠すぎるし、仕方ないか」
「俺の魔力を使って、リディアが転移すればいいんじゃない?」
「だから、使わないってば。それに、私が転移魔法なんて使えるわけないでしょ?」
「なんで使えないの?」

 レイは不思議そうに首をかしげる。

「転移魔法は魔法の中でもとっても難しいとされている術のひとつよ。使える魔法使いなんて、滅多にいないんだから」

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