無能魔女の甘すぎる誤算 ~成り行きで助けた最強魔術師様が熱烈に求愛してくるのですが~
「リディアはお金を稼いだら、何をしたいの?」
「私? 私は──」

 リディアは考える。
 新しい洋服を買う、いつもよりちょっとだけ高いパンを買う、美味しいレストランに行く。やりたいことはたくさんあるけれど、一番叶えたい夢は──。

「私は、自分のお店を持つことかな」
「自分のお店?」
「ええ。自分の薬屋。今は薬を卸して生計を立てているけど、いつかは自分のお店が欲しいわ」
「いいね、それ」

 レイは相槌を打ちながら、目を細める。

「うん」

 お店を持つ頃にはレイはリディアの元を去っているだろう。けれど、たまに顔を見せに来てくれたらいいなと思った。

「レイは何の仕事がしたい?」
「なんでもいいよ。手っ取り早くお金を稼げるやつかな」
「きちんと選ばないと、報酬が高いものは危険だったり、胡散臭かったりするのよ」
「じゃあ、リディアが選んでよ」
「ええ?」

 なんという無茶ぶりだろう。
 リディアはレイを見る。

 彫刻みたいに整った顔立ち。すっかり肉付きがよくなりしなやかな体躯。不思議なことに黒かったはずの髪の毛はいつの間にかグレーに変わっており、瞳も青みかかったグレーだ。

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