無能魔女の甘すぎる誤算 ~成り行きで助けた最強魔術師様が熱烈に求愛してくるのですが~
 それに、あの魔法の力もどういうことなのか理解できない。リディアが知る限り、あそこまで強力な魔法を難なく使いこなすのはシリル以外に見たことがない。つまり、レイは王宮魔術師と同等のスキルを持っているということだ。

「うー! 考えてもわかんない!」

 リディアは髪の毛を乱暴に搔き乱す。
 レイが何者なのか考えるけれど、答えは見つからない。

「よし! 本人に聞いてみよう」

 何か事情があってフォシニのふりをしているなら、その理由を聞いて助けになってあげたいと思う。
 そのとき、「リディア、上がったよ」と呼ぶ声がした。

 振り返ると、風呂上がりのレイがいた。髪の毛は濡れており、ぽたぽたと水滴がしたたり落ちている。

「レイ。髪の毛はきちんと拭かないと風邪ひいちゃうって言ったでしょ」

 リディアはレイが持っているタオルを奪い取ると、ガシガシとレイの頭を拭く。何度も注意しているのに、一向に直す気配がない。

 少し伸びてきた前髪越しに目が合うと、レイはふわりと笑った。

「どうして笑ってるの?」
「リディアにこうやってもらうの好きだなと思って」
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