無能魔女の甘すぎる誤算 ~成り行きで助けた最強魔術師様が熱烈に求愛してくるのですが~
──これ以上、リディアに貸しを作りたくない。
初めて言われる台詞だった。これまでは何かと甘えてきてばかりだったレイが、初めてリディアを突き放すような言い方。
(本当に気にしなくていいのに)
この寂しさは、子供が巣立つのを見送る親の気持ちに近いのかもしれない。
「……そっか。じゃあ、おねがいしようかな」
リディアはそう言うと、シリルのほうを向く。
「師匠。それと、もうひとつお願いがあるんです。レイに魔法の使い方を教えてあげてほしいんです」
リディアの言葉に驚いたのはレイだ。
「リディア? そんなの必要ない。教わらなくても、見よう見まねで使える」
「レイ。魔法は使えればいいってわけじゃじゃないの。制御ができていないと危険なの」
リディアは首を振る。
「昨日の魔法、威力が強すぎたわ。周囲の人が怪我をしかねない状況だった」
「怪我してないよ」
「結果論でしょ」
「リディアが無事だったなら、それでいい」
「よくないわ」
リディアは、はっきりした声で言う。