無能魔女の甘すぎる誤算 ~成り行きで助けた最強魔術師様が熱烈に求愛してくるのですが~
 シリルはひゅうっと口笛を吹く。そして、未だに黙り込んでいるレイを見つめた。

「おい、坊や。はっきり言って、今のお前はリディアにとって、ただのお荷物だ。だが、魔法がうまく使いこなせるようになればリディアを守れるし、助けになることもできる」

 レイがはっとしたように顔を上げる。


「……リディアを守れるし、助けになれる?」
「ああ。だが、半端な気持ちなら教えられねえな」

 挑発するようなシリルの言葉に、レイはすっと目を細める。

「半端じゃない」
「へえ?」
「リディアを守るためなら、何でもやる」

 レイの纏う空気が一瞬で変わった。
 シリルは、興味深げに目を眇めた。

「……なるほどな」

 ゆっくりと頷く。

「いい目だ。お前、きっと最強の魔法使いになるぞ。だが、その前に肩もみだ。約束だからな」

 シリルは右手で自分の左肩の辺りを摩る。
 
「リディアは先に帰ってろ。お前がいると、こいつの気が散る」
「あ、はい」

 リディアはぺこりと一礼する。後ろ髪を引かれながらも店を出ると、背後を振り返る。

「大丈夫かな……」

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