無能魔女の甘すぎる誤算 ~成り行きで助けた最強魔術師様が熱烈に求愛してくるのですが~
 シリルであれば安心してレイを任せられるとわかっていても、心配になってしまう。リディアは忍び足で店の前まで戻ると、ドアにはめられたガラス越しに中を覗く。

「いてー! お前、力強すぎだ!」
「リディアに触れたのに肩を砕かれずに済むだけ、ありがたく思って」
「お前、目がマジだな。ちょっと重すぎるぞ!」
「じゃあ終わりにしていい?」
「だめだ。まだ二十九分残ってるぞ」

 ふたりがギャーギャーと言い合っている。

「ふむ」

 リディアは顎に手を当てる。
 今日初めて会ったにしては、随分息があっている。
 なかなかいい子弟になりそうな気がした。
 

 その日の夜。
 レイはちょうど夕食が出来上がる頃に帰ってきた。

「おかえり、レイ」
「うん、ただいま」
「夕御飯出来てるよ」

 リディアはてきぱきと盛り付けの準備をする。そのとき、右肩にトンっと重さを感じた。背後に立つレイが額を載せてきたのだ。

「レイ? どうしたの?」
「……リディアは、ああいう大人の男が好きなの?」
「はい?」

 意味がわからなかった。
 ああいう大人の男とは一体?

「シリルみたいな」
「何を言ってるの」
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