無能魔女の甘すぎる誤算 ~成り行きで助けた最強魔術師様が熱烈に求愛してくるのですが~
「だって、リディアが楽しそうだったから」

 リディアは体を捻ってレイを見る。珍しく、拗ねたような顔だった。

「……あのね」

 リディアは軽くため息をつく。

「シリル先生は、ただの師匠よ」
「本当にそれだけ?」
「本当にそれだけ」
「じゃあ、俺のほうが好き?」
「何の勝負なのそれは?」

 リディアは呆れて息を吐く。どっちが好きだなんて、決められるはずがない。シリルもレイも、リディアにとっては大切な人なのだから。

「レイ、どいて。ご飯食べよう」

 話を終わらせようと、レイに背を向ける。
 その瞬間、後ろからぎゅっと抱きしめられた。

「リディア」
「何?」
「俺のほうが好きって言って」
「言いません」
「どうして」
「ふたりとも好きだもの」

 レイはしばらく黙りこむ。
 シリルの指摘していた通り、レイは時々子供のようなただを捏ねる。リディアは少し考え、「あ!」と声をあげる。

「でも、魔法の勉強を頑張るレイはもっと好きかな」
「本当?」

 レイは目を輝かせ、リディアを見つめる。

「じゃあ、俺頑張るよ」

 レイの表情が綻ぶ。
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