無能魔女の甘すぎる誤算 ~成り行きで助けた最強魔術師様が熱烈に求愛してくるのですが~
 いったいどこのどいつがそんなひどいことを……と、リディアは憤る。

(レイが辛い過去を乗り越えて前に進めますように)

 そう願わずにはいられなかった。


 ──二カ月後。

 レイは、ほとんどシリルと肩を並べるくらいまで成長していた。

「悪いが、もう教えることがない!」
「冗談でしょう?」

 リディアはシリルに聞き返す。まだシリルがレイに教え始めて二カ月足らずだ。

「冗談に見えるか?」

 シリルは肩を竦める。

「魔力の流しかたも、魔法の瞬発力も、威力も完璧だ。俺が教えた魔法も完全に使いこなしている」

 リディアは言葉を失う。
 
(たった二カ月で? 本当に?)

 シリルが嘘をついていると本気で思っているわけではない。それくらい、信じがたいことだということだ。
 なぜなら、魔法の使い方は幼少期から家庭教師に習い、さらに魔法学校で二年間かけて学ぶのが一般的なのだから。

「じゃあ、もうここには来なくていい?」

 当のレイはけろっとした様子でシリルに尋ねる。

「ああ。俺から学ぶことはないからな。だが、ここで終わりにするのは惜しい」

 シリルは顎に手を当てる。

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