モフモフ王子様のお世話係になりました!~イケメン王子と秘密の共同生活~

11話 完璧な王子①

その後の授業も、いつもどおり静かに進んでいった――はずだった。

最初は英語の時間。
先生が教科書を開きながら言った。

「じゃあ、このページを読める人~?」

教室中が一斉に下を向く。
あてられたくないのだ。

空気がピン、と張りつめる。
その中で――

「はい、先生!」

リアンが自信たっぷりに手を挙げた。

「えっ?」

ざわっ、と教室がゆれる。

リアンはすっと立ち上がり、教科書を読みはじめた。

……その英語が、すごすぎた。

なめらかで、発音はネイティブどころか、まるでニュースキャスターのよう。
一語一句が耳にすーっと入ってくる。

先生は口をぽかんとあけたまま固まっていた。

「リアンくん、英語もペラペラなんだね~!」 「声がさわやかすぎる……!」 「映画の吹き替えみたい!」

女子たちから黄色い歓声が上がる。

私はそっとため息をついた。

(はぁ……どこの国でも王子は王子ってことなのね)



次の体育はバスケットボール。

男子がプレーしている時は、女子は見学だ。
リアンはジャージでも完璧な姿。

コートの真ん中に立つだけで、彼のところに光のエフェクトが出てる気がする。

「リアン、ボール回すぞ!」

チームの男子がリアンにいった。

「うむ!」

リアンは受け取ったボールを軽やかにドリブルし、
ひょい、と相手をかわし、またかわし――

スッ、と踏み込んで放ったシュートは美しい放物線を描き、
トスッ、と気持ちよい音をたててゴールに吸い込まれた。

「リアン! ナイスシュート!!」 「やっと点が入ったのに、いきなり決めるとかすごっ!」 「フォームがプロ選手みたいだ!」

男子たちがワッとリアンに集まる。

リアンは男子にまで人気となり、一気にトップにのぼりつめてしまった。

(ここまで何でもできると……学校で勉強する意味って、あるのかな?)



そしてお昼休み。

リアンは完全に“今日の主役”になっていた。

「リアンくん、日本語じょうずだね!」 「どうして日本に来たの?」 「お箸、使える?」

女子たちがリアンの周りをきゃいきゃいと囲む。

「ああ。箸は得意だ。我が国とは少し違うが、天音の家でも使っている」

「……え? 天音の家って?」

周りの女子が固まった。

(やめてぇぇぇ~~っ!!)

わたしはあわてて会話に割り込んだ。

「リアンくんが、この前うちでご飯を食べただけで! ね? ねっ?」

 冷や汗をかきながらわたしは早口で伝えた。

「へぇ~、いいなぁ」「仲良さそうだね~」

女子たちの視線が刺さる。

“同居してます”なんて絶対言えない!!

今の人気ぶりを見たら、どんな反応をされるか恐ろしすぎる。

そのとき、窓からそよ風が吹き込んだ。
リアンがふと校庭のすみを見つめる。

「あそこ……竹が生えているな。よい香りがする……」

うっとりした目が、きらりと光る。

(あっ、パンダスイッチ入った……!)

「ダ、ダメぇぇぇーーっ!!」

わたしの叫びに、周りがびくっと振り向いた。

「ど、どうしたの天音ちゃん?」

戸惑い顔のクラスメイトが声をかけてくる。
「い、いや! 虫が……! 虫がいたの!!」

「なるほど。虫といえばパンダの好物は――」

「言っちゃダメッ!!」

お願い、学校でパンダらしいこと言わないで……!
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