敗戦国の皇子に片想いしてしまったら、思ったよりも溺愛されました
部屋に戻ってからも、私は落ち着かなかった。

窓辺に立っても、椅子に座っても、先ほど大広間で見たノア皇子の姿が頭から離れない。

血に汚れた鎧。乱れた髪。

それでも父をまっすぐ見据えていた瞳。

「あの人、どうなるの?」

思わず尋ねると、そばにいた使用人は難しい顔をした。

「ノア皇子のことですか?」

「ええ」

「王がお気に召したのでしたら、命は助かりましたね」

その言葉に、私は少しだけ息を吐いた。

「……そう」

命は助かった。

それだけで、胸の奥が少し軽くなる。

「今後は?」

私がさらに尋ねると、使用人は少し考え込んだ。

「おそらく、この城で暮らしていくのだろうと」

「この城で?」

「はい。客人として扱うと仰せでしたから」

客人。
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