敗戦国の皇子に片想いしてしまったら、思ったよりも溺愛されました
父は確かにそう言っていた。

けれど、あの場の空気を思い出すと、どうしても素直に信じることはできなかった。

それでも、城の中にいれば食事も寝床もある。

少なくとも、戦場で命を落とすことはない。

「そう。だったらいいのだけど」

私は胸に手を当てた。

少しほっとした。

あの人が生きていられるなら、それでいい。

そう思ったのに、使用人は小さくため息をついた。

「でも、王も残酷なことをしますね」

「え?」

私は顔を上げた。

「残酷って、どういうこと?」

使用人は言いにくそうに視線を伏せた。

「姫様には少し酷なお話かもしれませんが……」

「いいから教えて」

私がそう言うと、使用人は静かに口を開いた。

「体のいい人質ですよ」

「人質?」

その言葉が、胸に冷たく落ちる。

「でも、お父様は客人だと」
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