敗戦国の皇子に片想いしてしまったら、思ったよりも溺愛されました
「……では」

「そなたはこの王宮に留め置く」

大広間が静まり返った。

父は玉座からノア皇子を見据える。

「敗戦国の皇子とはいえ、そなたには利用価値がある。だがそれ以上に、その気高さが気に入った」

「つまり、私はこの国に囚われるのですね」

「言い方が固いな」

父は楽しげに笑った。

「客人として遇してやる」

客人。

けれどそれが本当の客ではないことは、私にも分かった。

ノア皇子も分かっているのだろう。

それでも彼は、静かに頭を下げた。

「承知しました」

その横顔は悔しげでも、怯えてもいなかった。

ただ、自分の運命を受け入れているように見えた。

私は胸を押さえた。

処刑されなくてよかった。

でも、自由にはなれない。

そう思うと、どうしてか胸が痛んだ。

敵国の皇子なのに。

それでも私は、彼のこれからを案じずにはいられなかった。
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