敗戦国の皇子に片想いしてしまったら、思ったよりも溺愛されました
翌日、城の一角にノア皇子の部屋が設けられた。

私は廊下の角で立ち止まり、そっと扉の方を見た。

本当は、来てはいけないのかもしれない。

けれど、どうしても気になってしまった。

部屋を覗いてみると、ノア皇子が家臣の一人と話をしていた。

「ノア皇子」

私が声をかけると、ノア皇子はすぐに振り返った。

そして、わざわざ入口まで歩いてきてくれる。

「フィオナ皇女。これは、お越しくださるなんて」

丁寧に頭を下げられて、胸が痛くなった。

捕虜としてこの城にいるのに。

それなのに、私にまで気を遣うなんて。

「気を遣わないで」

「しかし」

「私のことはフィオナでいいわ」

そう言うと、ノア皇子は少し驚いたように私を見た。

それから、ふっと柔らかく笑う。

「では、俺のこともノアと呼んでくれればいい」

「……ノア」
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