敗戦国の皇子に片想いしてしまったら、思ったよりも溺愛されました
ある日、鍛錬場の端で、ノアが家臣たちと剣の練習をしている姿を見かけた。

ヴァルティエから連れて来られた家臣は、わずか三人。

ノアを入れて四人だけで、静かに剣を交えている。

本当ならもっと広い場所で、堂々と鍛錬したいだろう。

けれど今の彼らに許されているのは、城の端にある小さな鍛錬場だけだった。

私は窓辺に腰を下ろし、思わず見入ってしまう。

美しい横顔に、剣の矛先が見え隠れする。

振り下ろされる剣。

受け止める腕。

汗に濡れた首筋。

鍛え上げられた逞しい体。

胸が、どきどきした。

「……綺麗」

思わず呟いてから、私は慌てて口元を押さえた。

けれど目は離せない。

ノアが剣を構えるたび、空気まで変わる気がした。

もっと近くで見たい。

そう思った時には、私は窓を大きく開いていた。

「ノア」

私が呼ぶと、ノアはすぐにこちらに気づいた。
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