敗戦国の皇子に片想いしてしまったら、思ったよりも溺愛されました
「そなたは捕虜として、この国に連れてこられた」

父であるエルドリア王の声が、大広間に重く響いた。

ノア皇子は鎖につながれたまま、まっすぐ玉座を見上げていた。

髪は乱れ、鎧は血に汚れている。

それなのに、不思議なほど落ち着いていた。

「無論、承知です」

その声に、震えはなかった。

捕虜として連れてこられた者の声とは思えなかった。

大広間に集まった貴族たちも、興味深そうにノア皇子を見つめている。

父は玉座の肘掛けに手を置き、静かに問いかけた。

「何か申しておきたいことはあるか?」

ノア皇子は、すぐには答えなかった。

少しだけ考えるように目を伏せる。

私は思わず、息を止めていた。

命乞いをするのだろうか。

自分の扱いについて願うのだろうか。

それとも、父に許しを請うのだろうか。
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