敗戦国の皇子に片想いしてしまったら、思ったよりも溺愛されました
ノア皇子の願いが、どうか退けられませんように。

なぜ敵国の皇子のためにそんなことを思うのか、自分でも分からなかった。

父は低く告げた。

「ただでは難しいな」

その言葉に、私の胸が冷えた。

ノア皇子は少しも動揺しなかった。

ただ静かに父を見上げる。

「それなら」

そして、はっきりと告げた。

「私の命と引き換えに」

大広間がざわついた。

「自分の命と引き換えに領民を守るだなんて……」

「なんて気高い皇子なのだ」

「敗戦国の皇子とは思えぬ」

囁きがあちこちから聞こえる。

私は声も出せなかった。

自分の命を。

そんなに簡単に差し出すように言うなんて。

でも、ノア皇子の表情は静かだった。

まるで、それが当然だと言うように。

「私一人の命で、我が国の民が守られるなら安いものです」
< 6 / 18 >

この作品をシェア

pagetop