敗戦国の皇子に片想いしてしまったら、思ったよりも溺愛されました
その言葉に、私の心が大きく揺れた。

敵国の皇子。

そう思っていた。

けれど今、私の目の前にいるのは、ただ敗れた者ではなかった。

自分の命より民を案じる、誇り高い人だった。

父はノア皇子をじっと見下ろしている。

その目には、怒りではなく、わずかな興味の色が浮かんでいるように見えた。

「そなたは、自分が死ぬのが怖くないのか」

「怖くないと言えば嘘になります」

ノア皇子は淡々と答えた。

「ですが、皇族として生まれた以上、守るべきものがあります」

その瞬間、私の胸の奥が熱くなった。

汚れた顔。血に塗れた鎧。鎖につながれた手。

それでもノア皇子は、誰よりも気高く立っていた。

私は目を逸らせなかった。
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