君が照らす人生は、いつだって温かい
「そう言えば、体育館で歌ってる映像、先生からデータもらったのよ」
「え」
「十回くらい見たわ」
「それ見すぎじゃない?」
「三回目くらいから、やっと冷静に音程聞けるようになった」
「じゃあ、最初の二回は?」
「泣いてた」
「ええ……」
カレーを食べる手が止まる。
「だってさ」
義母は、スプーンを皿の縁に置く。
「〝今日まで生きてきたんだよ〟って、何度聞いても心に残るフレーズだから」
笑っているのに、
声の端っこが少しだけ震えていた。
「春日井先輩も、見ました?」
「うん。先生から特別にワイプ付きのやつもらいました」
「ワイプ付き?」
「お母さんが後ろで泣いてるワイプ」
「ちょっと待って、それ誰編集?」
「顧問の先生です。〝ここ感動シーンだから入れといた〟って」
「顧問の先生、そんな編集スキルがあったとは……」
三人で笑う。
笑いながら、ほんの少し、
胸の奥が温かくなった。