君が照らす人生は、いつだって温かい
第八章

自分の弱さ


診察室の天井には、小さなシミが三つあった。

ひとつ、ふたつ、みっつ。

数えているあいだだけ、何も考えなくて済む。



「春日井くん」



白衣の先生の声がして、現実に引き戻される。



「画像、見てもらおうか」



モニターには、モノクロの足首が映っていた。

俺の左足首。

骨の輪郭。

その一部に、うっすら白い線。



「ここ。ヒビが入っているの、分かるかな」



先生がマウスでその部分を丸くなぞる。

はい、と口では答えたけど、
正直よく分からなかった。

ただ、『ヒビ』という言葉だけが、
やけにクリアに頭の中に残る。



「それから、靭帯がかなり傷んでいる」



別の画像が表示される。



「前十字靭帯と、外側靭帯。どちらも〝無傷〟とは言えないね。手術する必要がある」



無傷じゃない。

じゃあ、『有傷』か。

バスケットボール選手あるあるの怪我、
とは美由紀から聞いていた。

でも。

手術って。
< 81 / 200 >

この作品をシェア

pagetop