君が照らす人生は、いつだって温かい
「正直に話すね」
先生は、俺の顔をまっすぐ見た。
「君が三年になった時の夏の大会。それには、間に合わせないほうがいいと思う」
心臓が、一拍分強く跳ねた。
「……インターハイ予選、ですか」
「そう」
高校バスケの〝夏〟。
多くの三年がそこで引退する、あの大会。
「仮に、ギリギリで間に合ったとしても、再び靭帯を断裂する可能性が高い。今までと同じレベルで走って、跳んで、止まって、また同じようにプレーしようとしたら、ほぼ間違いなくどこかで限界が来る」
『ほぼ間違いなく』という言い方が、
一番効いた。
そこに、奇跡とか根性とか、
入り込む余地はなさそうだった。
「じゃあ、バスケはもう……」
最後まで言えなかった言葉を、先生が補う。
「〝絶対にできない〟とは言わない。日常生活を送る分には、しっかりリハビリすれば大丈夫になる」
しかし、と続ける。
「〝高校三年間のすべてをかけて、エースとしてコートを駆け回る〟という意味でのバスケットボールは、少し考え直したほうがいい」
頭の中で、体育館の光景がぐるぐる回る。
オレンジのボール。
白いライン。
鳴り続けるバッシュの音。
「君が今、何を目指しているか分からないけど」
先生は、静かに言う。
「もし〝大学でも、その先も、本気で選手としてやっていきたい〟と思っているなら、なおさら。この怪我をきっかけに、進路を考え直す選手も少なくない」
〝考え直す〟。
それは、きれいな言い方の『諦めろ』だった。
「今後もバスケットを〝趣味〟レベルで続けるのか。それとも、別のところに全力を向けるのか」
モニターの中の白黒の足首が、
急に他人のものみたいに見える。
「決めるのは、君自身だよ」
先生の声が遠くなった。