君が照らす人生は、いつだって温かい
◇
病室に戻る途中、
廊下の窓から体育館が見えた。
リハビリ室の一角にある小さな体育館。
お年寄りがゆっくりバスケットボールをついている。
俺の体育館じゃない。
でも、ボールの音は同じだ。
『三年の夏の大会には、間に合わないほうがいい』。
先生の声が、頭の中で何度もリピートされる。
じゃあ、俺の夏はどこにいくんだ。
インターハイ。
ウインターカップ。
テレビや配信で見てきた『夢の舞台』。
そこに立つ自分を、何度も想像してきた。
その全部が、一枚のフィルムみたいに、
現実から剥がれていく感じがした。
ベッドに腰を下ろす。
固定具に包まれた左足が、やけに重い。
「バスケ、諦めろってことかよ……」
誰にともなく呟く。
手を伸ばせば、まだボールをつかめる気がする。
でも、床を蹴ることはできない。
『諦めたくない』と『諦めなきゃいけない』が、
胸の中でぐちゃぐちゃに絡まった。