台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―

震える肩を隠しきれない紫苑を、美玲が唖然として見上げている。

その口がきゅっと結ばれた時、すっと白くて細い手が空に向かって挙がった。


「し、――紫苑くん、2ショットタイム……いいかな?」


焦ったような美玲の行動に、周りの注目が集まる。

美玲の頬はほんの少し赤らんで、その視線は下に逸れた。


「あぁ、うん。もちろん」


もう笑うのをやめた紫苑が、美玲に向かって綺麗に微笑む。

2人はテーブルにコップと皿を置いて、家の中へと消えていった。


「美玲、やるぅ」

「がんばれですねっ」

「え、やっぱそこはもうそういう感じなの?」

ぬるーくざわつく空気の中、私は部屋の中を見てむぅっと唇を尖らせ、ちょっと面白くなさそうな顔を保つ。

ちゃんとカメラに抜かれたのを確認してから、くるっとみんなの方に向き直った。


「陸くん、お肉焼けてるよぉ。はいっ、どーぞ♡」

「あ、ども……って、焦げてんじゃねーかコレ!」

「香ばしくて美味しいと思うよー?」


キーキー言ってる陸を軽くあしらって、近くにいた爽真にも狙いをつける。


「爽真くんも。なにか瑠奈がとってあげよっか?」


爽真はじっと私を凝視してから、ふいっと無愛想にそっぽむく。


「……いい」
「……そっか♡」


演技にしたってもう少し愛想よくしなさいよ。

あとで文句言ってやろって、ふっと思ってしまった。
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