台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―

「ぜーんぜん平気だよ?
だけどそれ――……誰に言われたの?」

しゅんとするひよりの顔が上がる。

「あの……誰っていうか……」

「うん?」

「その、私が勝手に信じちゃっただけで……」

「誰に言われたの?」

ひよりがまた俯いて黙りこくる。

しばらくしてから、小さな唇が迷いながらゆっくりと開いた。


「あの……、美玲ちゃんに……」


名前を聞いた瞬間、ぞわりと背筋が逆立つ。

私の表情が止まったのに気づいたひよりが、あわあわと両手を振り出した。

「や、あのっ。違わないけど、違くてっ!
美玲ちゃんもプロデューサーさんに聞いたって言ってたし!その、瑠奈ちゃんすごく可愛かったから、本当なのかなって……」

「……へぇ、そっかぁ。教えてくれてありがと、ひよりちゃん」


甘い声も出せた。
可愛い笑顔も作れた。

だけど、胸の奥は冷えている。

美玲は自分の設定だけじゃなくて、私の設定も最初から知っていた。

だから初めて声をかけた時、気まずそうな顔をされたんだ。


“私は悪女設定”っていうところまで知っていたのか、
“そういう性格のやつ”として知っていたのか、
そこは定かではないけれど――

なんにせよ、気を抜けない相手なんだっていうのは改めてわかった。
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