台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―
「昨日のアオバケの初回放送見たぁ?
瑠奈びっくりしちゃったよぉ。爽真くん誰が気になるとかないと思ってたからぁ」
頬に手を当てたまま、はーっと甘ったるいため息を吐く。
「っ、」
爽真が思わずコーヒーを喉に引っ掛けた。
「ちょっとぉ。爽真くん、大丈夫〜?」
身を乗り出して、ティッシュで爽真の口元を拭いてあげる。
集中切らしてんじゃないよって、目だけで笑った。
「……お前が白々しいこと言うからだろ」
私からティッシュを奪った爽真が、それで口元を隠しながら周りに聞こえないように囁く。
「なんのことー?瑠奈わかんない⭐︎」
きゃぴっと目を大きく開いて、ぱちくりと瞬きする。
――うざ。
そんな、爽真の心の声が聞こえてきそう。
間近に覗くその目が、子どもっぽくジト目になった。
「――爽真くん」
爽真の真後ろから、鈴の鳴るような声がする。
ゆっくりと自分の椅子に腰を戻していくと、爽真の後ろに美玲が立っていたのに気づいた。
爽真が何も言わずに美玲の方を向く。
美玲は緊張しているのか、前で組んだ手を何度も握り直していた。
「あの、2ショットタイム……、いいかな?」
もじもじと目を逸らしながら誘う姿は、甘い風を纏っている。
美玲が、初めて爽真を誘った。
――と、いうことは。
いよいよ“爽真が美玲に惹かれていくストーリー”が、動き始めるってことだ。
「……?」
胸に何かが引っかかった気がして、首を傾げる。
目の前で甘酸っぱい空気くらったからかな。
心が砂糖を拒否し始めてるのかもしれない。