台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―
「……ああ、うん」
マグカップを置いた爽真が、音も立てずに立ち上がる。
「じゃ、テラスで。……いい?」
ぎこちなく美玲がリードして、2人でガラス戸の向こうへ行ってしまう。
テラスの柵に並んで、海を眺めながら何かを話している爽真と美玲の後ろ姿を見る。
ガラスの壁に阻まれて、2人の会話はわからない。
潮風に靡く、髪と制服。
なんとなく漂う甘い雰囲気。
美玲の横顔が、なぜか赤らんでいるように見えるからだろうか?
青春っぽい1ページ。
けど、その背後にはカメラマン。
その異物ひとつで、そこが舞台の上なんだって再認識する。
いつのまにか、テーブルの下で拳を握り込んでいたことに気づいて、慌てて解く。
――いかんいかん、集中!
この2ショットタイムで、きっと爽真の恋物語が一歩進む。
私も頑張らないと。
美玲がいないうちに、紫苑にちょっかいかけに行こう。