台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―
――……
「だーれだ♡」
浮かない顔でソファに座っている紫苑の背後に近づいて、後ろから手で目を隠す。
紫苑の体が一瞬驚いたように強張って、それから私の両手を優しく剥がした。
「……瑠奈ちゃん」
「せいかーい♡」
後ろからひょこっと紫苑の顔を覗き込んで、笑う。
紫苑の手は力は入ってないものの、私の手をすっぽりと覆っている。
間近に覗いた困り顔混じりの笑顔は、人の良さそうな王子様だ。
「お隣いーい?あっ!せっかくなら2ショットタイム!
お願いしちゃおっかな♡」
ふふ、と瞳を細めた私を、紫苑が横目にチラ見する。
その目から、ちょっとだけ危険な香りが漏れた気がした。
「……いいよ?行こっか」
目が笑ってないのは、美玲が他へ行ってしまったヤケクソからか。
それとも別の意味があるのか。
「やった♡じゃあ外に出よ〜」
どっちにせよ、もう2人きりを取り消すことはできない。
心の警戒を強めながら、カメラマンを連れ立って私たちはリビングを抜け出した。