台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―
落ち着け。落ち着け私。
まずは紫苑の狙いを見極めなくちゃ。
「えっ嬉し♡
じゃあ前と今とで気持ち、変わってる?」
意識して声をより高くする。
そっちがその気ならこっちだって。
甘い笑顔の裏で、目だけはちょっぴり鋭くした。
「たとえばぁ。美玲ちゃんより気になる人できた――とか」
紫苑の目が、驚いたように丸くなる。
「予想外」そう言いたげな顔だった。
「――ははっ!やっぱいいなぁ、瑠奈ちゃん」
キラキラした目が細くなって無くなって、王子が口を開けて笑っている。
カメラマンは事務的に私たちを撮り続けていて、ぽかんとした顔を見せることさえ許されない。
けらけらと笑い続ける紫苑を、とりあえずの笑顔を貼り付けて見守る。
気が済んだところで、紫苑が一息ついてこっちを見た。
「変わらないよ。1番は美玲ちゃん」
とびっきりの王子スマイル。
私の方を向きながら、真摯な横顔が綺麗にカメラに映るようにしている。
「……そっかぁ。ざんねーん。
でも、まだはじまったばっかりだから。瑠奈にもチャンスあるもんね」
全く凹むそぶりも見せず、きゅるっとあざとい拗ね顔を作る。
「うん、お互い頑張ろうね」
返事まで優等生。
「じゃあ戻ろっか」と紫苑が立ち上がったところで、カメラマンがカメラを下ろした。