台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―
「……えっ。俺?」
大和も戸惑って苦笑いしている。
そりゃそうだよね、私もびっくりしてるもん。
中途半端に持ち上げちゃった大和の手。
そこにみんなの注目も、カメラのレンズも向いちゃっている。
うっかり目が合ってしまった彩加が、“大和にまで手を出すのか”って鬼のような顔になってた。
「……」
「……」
どうしよ、これ。もう行くしかないんだよね?
ふと、刺さる視線を察知してそっちを見る。
夏の太陽を背負った爽真が、冷たい目でこっちを見ていた。
怖っ!気まずっ!
「行こっ大和くん!レッツゴー♪」
「えっあ。マジで?」
空元気で大和の腕を抱いて強引に走り出す。
私という嵐が去った後のスタート地点には、不穏な沈黙だけが残った。