台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―
――……
(あっしまった。カメラマンをこっちに誘導し忘れた!)
紫苑と2人きりになるなら、カメラは回ってて欲しかったのに。
本日の撮れ高、なし。
メンタルズタボロな上に暑い中、どうもありがとうございました。
向日葵みたいな紫苑の後ろ頭を眺めながら、がっくりと肩を落とす。
もうこのままさっさと出口を目指そう。
太陽の位置見れば、なんとなく向かう先がわかるはず。
そう思って空を見上げた時、綺麗に微笑む紫苑が振り返って手を差し出してきた。
「はい」
「なぁに?紫苑くん」
「手」
「ん?」
私の目の前の手のひらが、“握れ”とくいくい動いている。
「好きなんでしょ?俺のこと。
じゃあ、喜ぶべき場面じゃない?」