台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―
「裏とかないよ。別に」
「ん?」
明るい太陽の光が、蜂蜜色の髪に反射してキラキラと光る。
そよいだ風が土と、緑の匂いを運ぶ。
紫苑の綺麗な顔が、こっちを向いた。
「俺が瑠奈ちゃんと手、繋ぎたかっただけ」
ふわっと音がしそうなほど柔らかい笑顔。
不意打ちで食らって、思わず大きく瞬きする。
赤らんだ頬をむうっと膨らませて、唇を尖らせる。
「も、もう。紫苑くんっ
からかわないでよね!」
繋いだ手に、汗が滲む。
紫苑が空いている手の甲を、私の頬に当てがった。
ぷす、と頬の空気が抜ける。
触れられたところから、胸にきゅっと熱が伝わる。
「あはっ惜しい!あともうひと攻めで、素が見られそうな気がしたのに!」
横に大きく口を開いて、くしゃっと子どもっぽい笑顔。
こいつ、私で遊んでる……!
間違いない、確実に!
「え、えー?なぁにそれ。
瑠奈はいつでもどこでもこうだよぉ?」
「へぇ、そうなんだー。
まぁそれでもいいけど。可愛いから」
「!!」
“勝った”と、色素の薄い甘い眼差しが言っている。
「じゃ、そろそろ出口目指そ。
もうきっとみんな脱出してる頃でしょ」
緩く絡めた指は、そのままにされて。
ゴールの方角にどんどん進む。
「悔しいでしょ。いんだよ?素で怒っても」
「…………。ぷん。瑠奈怒ってるもんっ」
「すっご、ブレないね」
影の角度がちょっとだけ変わったころに、私と紫苑は向日葵迷路を脱出できた。