台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―
ふわりと胸を満たす石鹸の匂い。
爽真に貼り付いた耳や腕から、低めの体温が侵食してくる。
(――はっ!?)
長い指が、くしゃりと柔く髪に絡んだ。
ぐわっと脳に血が昇って、閉じかけてた目がしっかり覚める。
体がそり返る勢いで立ち上がって、ギクシャクと爽真の方を向いた。
「い、いい!大丈夫!
私、横にならないと寝られない派だからっ」
自分でもよくわからない言い訳をして、跳ねるように女子フロアの階段前まで逃げ込む。
階段に足をかけたところで、ハタッと立ち止まる。
脊髄反射に近い行動だったとちょっぴり反省して、
爽真のことを見て姿勢を正した。