台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―
「カメラが向いてないからって、ちょっと気が抜けてない?瑠奈ちゃん」
爽やかに一滴黒を落としたみたいな、いつもより低い紫苑の声が耳に飛び込んできた。
ハッとして振り返ると、間近に胡散臭い笑顔。
私が収まる浮き輪に腕をかけている紫苑が、楽しそうに私を見ていた。
「ちょっと暑かったからかなっ?
せっかくの紫苑くんとの時間、ちょっと無駄にしちゃった」
すぐに甘えた声を出して、大袈裟にリアクションを取る。
紫苑は不意に私の耳元に顔を寄せて、誰にも聞こえないように囁いた。
「……そんなに気になる?
美玲ちゃんと――……爽真」
胸がドクンと大きく跳ねて、思わず動揺に視線が揺れる。
私の素の反応を見た紫苑が、満足そうに妖しく瞳を細めた。
紫苑の手口はいつも同じ。
裏と表の境界を曖昧にして、私を揺さぶろうとする。
それに乗せられちゃいけない。
しっかり刺し返さないと。